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台湾推理小説作家 林斯諺 『霧影荘殺人事件』 [作品紹介]

 
  登場人物
  
  林若平 ハーバード大学で哲学の学位を取得、帰国したばかり。熱烈なミステリーファン。

  雷毅  年は40歳位。人気推理小説作家。若平は彼の作品をあまり評価していない。

  阪井誠司  青年時代台湾で過ごした。日本に帰ってから探偵社に入り、現在は正式ライセンスを持った私          立探偵。 

  王永文  休暇中の刑事部長
 
  唐仲侃  休暇中の刑事部長

  江川  霧影荘の持ち主。富豪。人気推理小説作家。

  江夫人  江川の美人妻。

  韓夏瑀  『MYSTERY』雑誌の女性編集者。

  
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台湾推理小説作家 林斯諺 [作品紹介]

 台湾の小説家林斯諺氏の短編作品『霧影荘殺人事件』を読みました。本格もの推理小説で、登場人物の描写、風景の描写もいいですね。雰囲気があって、しかも品があります。
 私が読んだ現在の中国(大陸)の推理小説は、この品格がなくて満足できない。物語に無理があったり、変に官能を追求していたり。紹介できるいい作品にであいたい。
 
 豪雨に閉じ込められた山中の別荘に、元刑事や日本人探偵、アメリカから帰国したばかりの推理小説ファン、ミステリー雑誌の女性編集者、そして、有名な推理小説作家2人とその共同執筆者、盗作をされたと主張する作家などが登場。推理小説ファンにはおなじみの設定ですね。面白いですよ。
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邦訳が出たら嬉しいアジア推理小説作品リスト [作品紹介]

 最近、台湾からのお客様の接待で宴会に参加。通訳ということだったのですが、結局楽しく一緒に飲んで歌って大騒ぎをしたようなものでした。この通訳をする前に、台湾の歴史や文化の勉強をしました。日本の植民地支配から、台湾映画、文学まで、本もよみ、映画も見ました。いい勉強をしました。また私の病気が出て、とにかく推理小説が気になるので、台湾推理小説を読んでみようと思いました。そのときタイトルのブログを発見。中国編・韓国編も紹介しています。
 私は今オールド上海の推理小説の翻訳に邁進していますが、現代の推理小説にも当然興味一杯。邦訳がないので原書で読んでいきますが、読んで面白かったら紹介していきます。きっと面白いと思います。
 『幻影城』という雑誌が刊行されていました。1975年から1979年まで。この雑誌を刊行されていた島崎博氏は雑誌の休刊後、台湾に戻り、翻訳や評論活動に活躍をされています。台湾推理作家協会もあります。
 なんだかワクワクします。
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オールド上海で活躍した推理小説家たち  失敗探偵 [作品紹介]

 オールド上海の推理小説家たちは、お互いに切磋琢磨して質の高い作品を産み出していきました。なかなか個性的な探偵を創造。その中でも今翻訳している『失敗探偵』胡閑ーは面白いですよ。
 作者趙苕狂(1891~?)は、小説を発表するかたわら、外国の探偵小説の翻訳に着手しています。彼は作家としてより編集者として知られ、『四民報』『紅玫瑰』『探偵世界』などの編集に力を発揮していました。彼の作品の中では推理小説が一番よかったと評していますが、私の入手できた作品は『少女的悪魔』だけです。この作品は翻訳をほぼ終了しました。
 趙苕狂の創造した胡閑は、失敗探偵と言われています。別に能力が劣るわけでもないのに失敗する探偵。編集を手がけてきた趙苕狂は、世界でも例のない探偵を創造してやろうと考えたのでしょう。私が翻訳をした『少女的悪魔』は、胡閑が一応の成功を遂げる物語で、失敗探偵の面目躍如とはいきません。他の作品を読みたいものです。
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オールド上海で活躍した推理小説家たち 孫了紅 [作品紹介]

 オールド上海で活躍した推理小説作家孫了紅。ダンディーな義賊魯平を主人公に作品を書いている。昔日のモダン上海を舞台に魯平が不正に蓄財した大金持ちから宝石や、大金を盗み出す。いつもスーツを着こなし、赤いネクタイをした魯平。彼の活躍に庶民は溜飲をさげたにちがいない。

 『33号住宅』は、高級住宅地区で発生した失踪事件をきっかけに、魯平がその住宅地に休養をかねて、住宅を借り受けたことから話が始まる。
 失踪事件の二人の登場人物がある理由から自ら姿を消したことを推理した魯平は、まったく違う謎に遭遇する。そして、その謎から、彼の商売のネタを見つけ出した。
 彼の長年の経験からすると、いかにも不思議で謎に満ちた事件が、実際にはたいしたことがなくて、逆に平々凡々に見えるちょっとした事件の後ろに、とんでもない謎が潜んでいるのである。今回魯平はちょっとした謎の影に隠れた、とんでもない事件に遭遇する。

 程小青・孫了紅と紹介したが、老上海の小説家は彼らだけではない。アジア第一の国際都市上海。いち早くホームズものを翻訳し、ルパンものを翻訳した上海の作家たち。
 一人でも多くの作家の作品を翻訳紹介してゆきたい。

 
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オールド上海で活躍した推理小説家たち 孫了紅 [作品紹介]

 エドガー・アラン・ポー『モルグ街の殺人』の舞台はパリ。フランスの怪盗紳士はアルセーヌ・ルパンオールド上海を舞台に大活躍した怪盗紳士魯平。魯平を中国語読みすると「LU PING ルピン」。音を似せた上、ちゃんと氏名になるように考えられていますね。
 本の雑誌社刊『ミステリー交差点』はとても面白いです。古今東西のミステリーを縦横無尽に独自の視点で紹介してます。この本で紹介されたミステリーを買って読みましたがはずれはなかったです。
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東方のルパン 33号住宅謎の解説編 [作品紹介]

 孫了紅の創作した義賊魯平が活躍する『33号住宅』。謎の解説をしなくてはいけませんね。
 1、33号住宅で起きた失踪事件の内幕。
  まず、住宅を見に来た紳士の失踪。彼は王仲浩といい、役人をしていた。中国の伝統で『官』と『金』は必然的な関係ができる。そして、中国の伝統では『金』は『女』と密接な関係を生ずるのである。王役人がこの住宅地を訪れたのは、新たに妾を迎えるために、御自ら住宅をさがしにきたのだった。ところが王役人は、33号住宅のベランダで下を歩いている不倶戴天の敵を目撃したのだった。刑務所に送り込んで安心していたが、刑期を終えて出獄していた。王役人を追ってここまでやってきたのだった。彼は自ら姿を消したのだった。33号住宅が飲み込んだわけではない。
 京劇の女役者の失踪も同じことだった。彼女はその美貌を見初められ、年寄りの金持ちの何号かの妾になることになっていたが、彼女には将来を誓い合った恋人がいた。母親と住宅を見に来たにしては、宝石をやたらに身につけていたと前にも書いたが、母親が手助けした上での失踪をした。今頃恋人と仲良く暮らしているだろう。
 
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東方のルパン 大活躍  [作品紹介]

 人々膏血を吸って太った米商人は、自分の誘拐された息子が米が高価でご飯を食べさせてもらっていないと泣きながら訴えるのを聞いて、すっかりうろたえた。
 「いったいどこのどいつが米の値段をこんなに高くしたんだ!」
 思わず言ったところ、電話の話し手が突然かわって、「本当にどこのどいつが米を高くしたんでしょうね。」といったなり、電話は切られてしまった。
 次の日の午後にも同じような電話がかかってきた。電話に出た息子の向かって、「どこにいるんだ」と問いかけてもわからないと言う。息子は「おなかがすいて死にそうだ。」とばかり泣きながら訴えるのだった。そして、3日目もこんな電話がかけられてきた。電話は公衆電話から、しかも場所を変えてかけられていて特定ができない。
 柳氏はすっかり憔悴してしまった。
 今までの蓄積した脂肪はすっかり落ちてしまい別人のようになった柳氏。
 息子が失踪してから7日目にやっと手紙が届けられた。

 その手紙には、息子を解放する代わりに、千俵の米を寄付するようにとあり、最後の魯平の書名があった。おまけに息子の字で、魯平の言うとおりにしてくれと懇願する手紙が入っていた。

 2日後、新聞に大見出しが躍った。
 「中華義賑会を代表して哀黎鳴は、柳也恵氏が500石の米を寄付して下さったことをここに報告し、心からの感謝をささげるものである。」
 
 すると一台の自動車が萍村の43号住宅に横付けされ、生きた宝物が降りてきた。
 ご飯をろくに食べていないと泣きながら訴えていたわりには、えらく血色もよく元気で父親はびっくりした。

 少し落ち着くと早速息子に質問を浴びせかけたが、こちらの息子もまた沈黙を守り、肝心なことは何も答えないのであった。
 あの34号住宅のお嬢さん姍姍と同じであった。

 さて、失踪した若者3人は元気にしかし、断固として沈黙を守って無事に家に帰ってきた。
 読者の皆様には、33号住宅を中心とした謎がだいぶ解けたことでしょう。

 それでも数々の謎が残されたままになっている。
 次回はその謎を魯平が残したノートを参考に、読者の皆様の満足が得られるよう解いて見せようと思う。
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東方のルパン 大活躍 [作品紹介]

 34号住宅ではこの日大騒ぎが持ち上がっていた。娘といっしょに失踪したはずの画家が突然主人を訪ねてきたからだった。梅望止は期待をこめて、魯平を客室の案内した。
 魯平は、「お宅のお嬢様は、私がお預かりしております。つきましては、10数年前に頂くはずだった真珠2粒と交換ということにしましょう。」といきなりきりだした。
 ここで梅氏は画家をよそおった魯平の正体にはじめて気づいた。
 魯平を相手に姑息な手段はつかえないと観念した梅氏は、真珠を魯平に渡した。すると、自動車が住宅地区に入ってきた34号住宅の前にとまると、中から姍姍と小翠が降りてきた。
 魯平は真珠と引き換えに、二人をすぐに家に戻したのだった。
 
 梅氏が二人にいきさつを尋ねても二人とも頑として何も語らない。清潔なホテルで二人いっしょに快適に過ごしたとだけしかついに聞き出すことができなかった。

 一方43号住宅の米商人の下には、電話がかかってきた。
 なんと電話には彼の息子が泣きながら出てきた。
 「お父さん!助けてよ。」間違えなく息子の声である。
 「なんで帰ってこない。」
 「帰れないんだよ。」
 「どこにいるんだ。」

 「そんなこといえないよ。」
 「どうやって助ければいいんだ。」
 「お父さん、僕おなかがすいて死にそうだ。ご飯が食べたいよ。」
 「ご飯だって。電話でご飯を送るわけにはいかないじゃないか。ご飯を食べさせてくれないのか?」
 「そうじゃないんだよ、お父さん。彼らも僕にご飯をたべさせたいのだけれど、お米が高くて買えないんだ。彼らが言うことには、悪徳米商人が売り惜しみをして米の値段を吊り上げていて、飢え死に寸前の人がいっぱいいるそうだ。ぼくもみんなといっしょに飢え死にするんだ。」ここまでいうと、息子はなくばかりだった。
 「くそったれ!」肥満体の米商人は心痛のあまりおもわずののしってしまった。
 
 
 
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東方のルパン 義賊の証明 2  [作品紹介]

 東方のルパンの名に恥じない大活躍をする機会をついにその手にした魯平。
 事件は次のように起きた。

 夜9時頃、萍村の第3通りで大騒ぎが起きていた。各住宅の入り口には人だかりがしていて、それぞれ口々になにやら議論している。しかも、その人々の視線の先は、33号住宅の屋上に向けられていた。
 どうやら33号住宅でまたまた事件がおきたようだ。
 一人を捕まえて事の次第をたずねてみると、なんと次の人物が失踪してしまったそうだ。
 1、34号住宅の幸運の女神ー梅姍姍お嬢さん
 2、その姍姍の腹心の召使 小翠さん
 3、43号住宅の15歳の柳雪遅青年
 4、33号住宅の画家俞石屏氏


 33号住宅の魔の部屋は、なんと6人もの人間を飲み込んでしまった!33号住宅には彼らがそこにいた証拠が残されていた。梅、柳両家の家族は、そこらじゅうを探し回ったが、彼らの子供は煙のように消えうせていた。

 1、3人の若者たちは、どうしてこの33号住宅にやってきたのだろうか?
 2、この魔の住宅に自主的にきたのだろうか?
 3、おどされて来たのだったら、誰がおどしたのだろうか?
 4、33号住宅からどこへいったのか?
 5、この住宅の主人はどこへいったのか?
 6、4人の失踪者たちは生きているのか?
 
 失踪事件から数日たつと、梅、柳両家の人々以外は落ち着きを取り戻していった。
 
 あの柳氏は大変な肥満体であったが、息子が失踪して以来ご飯ものどを通らず、心配で眠ることもできず、10ポンド減量してしまった。
 
 あの魔法を駆使できる骨董商梅氏も同じことだった。

 だが、この煉獄から先に解放されたのはこの梅氏であった。

 
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