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東方のルパン 謎を解いて [作品紹介]

 魯平の借りた33号住宅の隣の34号住宅には、「三三」という娘がいた。向かいの43号住宅には二人の青年がいた。そこで魯平は、あの謎の数字の意味するものをついに解いたのだった。

 さて、次に魯平がしたことは、向かいの43号住宅の住人と、34号住宅の住人の徹底調査であった。

 43号住宅の住人は、今をときめく米穀業者で、50過ぎの肥満体の男、柳也恵といった。2年前まで小商人だったこの男、動乱のこのご時世に、良心を何度もどこかへ引越しさせ、大もうけをしたのだった。大もうけをしたからには、豪華な生活をすることをはばかることはない。確かに43号住宅は小さな宮殿のようになっていた。住宅は豪華でも、そこに住む家族はシンプルであった。一人息子ーこの息子を夫婦は溺愛していたーと小さくて痩せこけた妻だった。
 使用人は運転手と数人のした働きの男女であった。

 次にお隣の34号住宅の住人はというと、この住宅は正式の公館ではなかった。梅望止という名の主人は古物業で財をなした男で、中級のお金持ちだが、彼の擁する夫人は6人もいた。この34号住宅に住まっているのは彼の第2夫人と一人娘の「三三」である。この第二夫人は軍艦のような女で、しかもとっくに退役をむかえた軍艦のような女だったが、一番の寵愛を受け続けていた。どうやら彼にとって第二夫人は幸運の女神らしく、この夫人と知り合ってから彼の人生は幸運に恵まれたということだった。娘の「三三」は彼の子供たちのうち、三番目の子供なので「三三(SANSAN)」と呼ばれていたが、学校に上がる頃になって、「姍姍(SANSAN)」としたのだ。15歳にしか見えなかったこの娘は実は17歳であることもわかった。娘には小翠という腹心の小間使いがついていた。34号住宅の主人はこの住宅に1月のうち数日を過ごすのみで、あとは他の夫人の公館を順番に泊まり歩くというわけだ。

 魯平はこの34号住宅の主人梅望止に思い当たることがあったのだった。
 


 
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