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オールド上海で活躍した推理小説家 孫了紅の作品『三十三号住宅』 [作品紹介]

 程小青と双璧をなす推理小説家孫了紅。東方の怪盗魯平を主人公に、複雑な謎を仕掛けてくる。今読んでいるのは『33号住宅』。謎が重層的に次から次へと出現し面白いぞ!孫了紅!
 所謂文章語を多用していて、格調高く難しい文章だが、内容はすこぶるおもしろい。程小青と双璧をなすといわれるのも納得。孫了紅のほうが、現代的かも。

 東方のルパンこと、魯平が登場します。
 
 原典は
 『血紙人 世紀経典之「侦探」系列』(文化芸術出版社 2004年9月発行 中国北京)
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オールド上海で活躍した推理小説家 東方のアルセーヌ・ルパンを創作 孫了紅 [作品紹介]

 老上海時代のみならず、現代にも通用する推理小説作家。程小青と孫了紅。
 東方のルパンが登場する孫了紅の作品を読みたい。ネットで注文した本が今日届く予定。
 届いたらすぐに目を通して、ご紹介をしたい。

『血紙人』(文化芸術出版社)入手。
 程小青の作品1点 孫了紅の作品4点 その他老上海で活躍した作家4人の作品各1点
 ついに孫了紅の作品を読めます。
 ただし、彼の文章は古めかしく文言が多くて難しいです。
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中国通俗文学史 [作品紹介]

 『東方のルパン』を創作した孫了紅の作品をどうしても読みたくて探していたのですが、彼の作品が載っている本を見つけました。いつも利用しているネット書店「書虫」で注文しました。
 『20世紀中国通俗文学史』も書虫で入手。大学のテキストに使用されているとのことで、難しいけれど、よくまとまっていて面白い。このテキストのなかでも、中国の推理小説の双璧として、程小青と孫了紅が高い評価をされています。程小青の創作した霍桑は「道徳的人物」ですが、孫了紅の創作した魯平は義賊とはいえ盗人。複雑な性格を有しているのです。ちょいワルの魅力。
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霍桑探偵集から 『霜刃碧血』  [作品紹介]

 
 庄愛蓮からの招待の手紙が発見され、霍桑は事件の真相を解明した。
 入院中の丁蕙徳を訪れ質問を始めた。

 丁蕙徳は霍桑の質問に答え、愛蓮から招待を受け彼女の家に行く途中で暴漢にあったことを告白した。

 彼女の隣の病室に霍桑たちは身をかくし、三角関係の張本人計曼蓀が見舞いに来てからの二人の会話を
聞いた。
 明らかに計曼蓀は夜遅く丁蕙徳が愛蓮の家のそばにいたことを不信に思っているようだった。
 そして丁蕙徳を襲った犯人が逮捕された。
 彼の供述は次のようなものだった。
 庄愛蓮に金でたのまれ、丁蕙徳を強盗に見せかけて襲撃するようにたのまれたが、愛蓮の殺害はしていないと。

 霍桑はこの事件の真相を次のように語った。
 庄愛蓮と丁蕙徳は、計曼蓀を愛していた。計曼蓀は美人ではあるが、性格的に問題の多い庄愛蓮を嫌い、丁蕙徳との関係を深めていった。そのことを恨んだ庄愛蓮は金で暴漢を雇って襲わせたのだった。
 ところが丁蕙徳は女性とはいえ、体育大学の学生で、暴漢に易々と攻撃されることなく抵抗したため、致命傷を負わせることはできなかった。
 丁蕙徳はこの暴漢の後ろで糸をひいているのは愛蓮であることをすぐに悟る。暴漢が捨てていったナイフをひろうと
すぐ近くの愛蓮の家のドアとたたき、愛蓮がドアを開けきらないところを首をめがけて一撃をして、また、自分が襲われた場所に戻り倒れこんだのだった。
 つまり、第一の被害者が第二の殺人事件の加害者であった。
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湯浅誠さんの著書『どんとこい、貧困』(理論社) 何年かに一度出会えるすばらしい本だった [作品紹介]

 肺炎おこしたので、アルバイトを休んだ。今月の給料は少なくなる。なんて思いながら本屋に行って、前から読もうと思っていた『どんとこい、貧困』を読んだ。この本は小学校高学年から中学生にも読めるように、ルビがふってあり、難しい用語には解説がついていて、とても丁寧に作ってある。軽い気持ちで読んだ私は、衝撃的な感動を覚えた。不覚にも何度も涙した。こういう良書に出会えるのは何年に一度なんだ。目からウロコ、目から涙の本。
 高い経済の専門書を買った金返せ。『どんとこい、貧困』は税込1365円です。
 誤解のないように。貧困よ、どんどん来いという内容ではありません。
 前書きに
  ずっと長い間、私たちの社会はあるオバケから逃げ回っていた。
 それは「貧困」というオバケだった。ちゃんと立ち向かっている人たちもいたが、少数だった。
 多くの大人たちは、見ないように目をそらしていた。見ざるを得ないときでも「これは貧困なんかじゃない。ただの怠け者だ」と認めなかった。中略
 逃げ回るのはもう止めて、ちゃんと貧困に立ち向かえる社会になろうーその願いをこめて、この本のタイトルを『どんとこい、貧困!』にした。後略

 貧困との闘いは、実は人間らしい生活をみんなができるための活動なんだということがよくわかる。
 病気をして給料が減って悩んでいる私のための本。ありがとう。
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霍桑探偵集から 『霜刃碧血』  [作品紹介]

 風邪から肺炎をおこしてダウンしました。まさか普通の風邪で肺炎になるとは。それまでの休みといっても休養になっていない生活を反省しました。身体の鍛錬も必要ですね。霍桑のように毎日欠かさず鍛錬をしなくては。
 ということで病み上がりで復活です。

 一人は暴漢に襲われ傷を負い、もう一人は首を一撃され絶命。二人の女子大学生は学生会議で顔見知りであった。更に調査を進めるうちに、殺害された庄愛蓮と傷を負った丁蕙徳は、同じ大学生を思っていた。その大学生計曼蓀は背の高い端正な顔立ちの優秀な青年であった。警察はこの青年を疑うが怪しいところは出てこない。
 二人の女子学生のうち、彼の心を捉えたのは丁蕙徳であったようだ。尾行をまいてまで青年は彼女を見舞っている。
 そのうち、丁蕙徳を襲った犯人が逮捕された。警察は厳しく彼を追及し、丁蕙徳から奪ったバッグを調べると、そこに紫色の便箋に当夜家に招待する内容の庄愛蓮の手紙が発見された。
 この手紙を見た霍桑はすぐさま、丁蕙徳の入院している病院に駆けつけた。

 
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霍桑探偵集から 『霜刃碧血』  [作品紹介]

 喉を一突きされ、石庫門で倒れていた庄愛蓮。ほんの7・8軒先で暴漢に襲われ刺された丁蕙徳。二人は同じ人物に刺されたのか。どちらが早く襲われたのか。謎は深まる。
 調査を進めるうちにこの二人の関係が判明してきた。二人とも大学を代表して学生組織の会議にたびたび出席し顔見知りだった。
 庄愛蓮の交友関係から、二人の男性が浮かんできた。
 一人は、彼女の義母の養子宋青年。もっとも親しくしていた大学生計曼蓀。使用人の話では、彼女は計曼蓀ともうすぐ婚約をするのではということだった。
 
 
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霍桑探偵集から 『霜刃碧血』 上海大学のミス・キャンパス殺害事件 [作品紹介]

 上海社交界の名花、上海大学のミス・キャンパス 庄愛蓮殺害事件を調査すべく現場に駆けつけた霍桑と包朗。
体育大学の女学生が襲われた現場と、庄家の距離はわずか7・8軒隔てた場所だった。
 庄家の邸宅は旧式の石庫門住宅であった。黒色の石庫門を入ったコンクリートのたたきの上に倒れているのが庄愛蓮。普通石庫門の大門は閉められているはずなのに、この邸宅の令嬢が大門を入ったところで殺されているとは。令嬢は使用人に門をあけさせず、自ら門を開けにいったらしい。

 庄愛蓮は20歳前後。漆黒の黒髪、首に血のりがついていた。ピンクの花模様のブラウスにスカート、白いハイヒールを履いている。うりざね顔で、顔立ち・スタイルともに整っていて、生前はさぞかし美しい女性たっだろうと思われた。
 殺害状況は、愛蓮が門を完全に開け切らない時点で、犯人は外から彼女の首を一刺しして逃亡したようであった。
 喉を猛烈な力で一撃された愛蓮は声も立てられず即死。使用人も気付かなかった。死後7・8時間、朝になって発見された。

 愛蓮の父親は、庄清夫といい、上海の名士で紡績工場を2つ所有し、政界から引退後も力を持っていた。令嬢の愛蓮は美しく聡明で、社交に長け、上海社交界の名花といわれていた。
 庄清夫はこのとき、2人の夫人と息子をつれて避暑に行っていた。邸宅に残っていたのは、第二夫人と愛蓮だけだった。愛蓮を生んだ第一夫人は、愛蓮が幼い頃亡くなっていた。第二夫人、その後二人の夫人を迎えた庄清夫は、愛蓮を溺愛しており、彼女の言うことは何でも聞いていたと言う。

 
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霍桑探偵集から 『霜刃碧血』 上海大学のミス・キャンパス殺害事件 [作品紹介]

 事の起こりは上海ではよく起こる事件だった。
 8月8日夜11時頃、北区通州路で、刃物による強盗事件が発生。恒路北区分署202号の警察官王福正は、通州路で女性の悲鳴を聞きそちらを見ると、白いスカートをはいた女性と、帽子を目深にかぶり黒っぽい服装をした男が争ってのを発見。王警官が駆けつけると、女性は歩道に横たわっていた。呼子を吹きながら逃げてゆく男を追いかけ岳州路に来ると、その男は自動車に飛び乗り逃げ去った。
 負傷した女性は傷そのものはひどくはないものの、出血がひどく意識朦朧としていた。同済病院に搬送され、治療中。
 襲われた女性は丁蕙徳といい、愛華女子体育大学の学生。奪われたのはハンドバックで、中には合計しても20元余りのものしか入っていなかった。

 以上の内容の新聞記事を読んでいた霍桑は、この事件が非常に奇妙だと言い始めた。
 1、たかが20元を奪うのに、逃亡用の自動車を用意している。
 2、自動車を用意しながら、拳銃ではなく刃物を使っている。
 
 必ず裏に何かがあると主張。ちょうどその時、上海警察の刑事部長汪刑事部長から電話がかかってきた。
 庄清夫の令嬢庄愛蓮が殺害されたという。しかも、庄家はあの強盗事件の現場のそばであり、時間も近接している。
 霍桑と包朗はすぐ現場に駆けつけた。
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霍桑探偵集から 『霜刃碧血』 上海大学一の美女殺害される [作品紹介]

 程小青の作品の犯人、わかりそうでわからない。この作品も意外な犯人。
 この作品が興味深いのは、中国の複雑な家庭を背景にしているからだ。上海大学一の美女が自宅で殺害されるが、裕福な家の令嬢だが、父親には妻が4人いてみんな同居している。霍桑探偵集には、このような家庭状況が当たり前のように出現する。この作品ではこのような家庭環境を考慮して霍桑が推理をしていく。
 霍桑は当然このような「大家族」に厳しい目を向ける。
 中国は男性中心社会。封建的社会が長期に続いて、そのイデオロギーも男性で権力を持つ人間に都合よく出来上がっている。現在も観察するとあんまり変わっていないように思うのだが。
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